2011年04月09日

創刊号

でんしょでしょ vol.1  
でんしょでしょ!

vol.1














横書き版(パブー)
 *HTML=ブラウザでの閲覧用。PCでそのまま見る場合はこちらをどうぞ。
 *PDF=横書きPDF。(あまり表示が綺麗じゃありません;)
 *ePub=電子書籍として閲覧の場合はこちらをどうぞ。


縦書き版(iPadZine)
 *PDF(通常版)=書籍風の縦書きレイアウト。PDFをご利用の場合はこちらがお薦め。
 *PDF(画像なし軽量デカ文字版)=低スペックPCやスマホ用。画像がないので軽量。文字が大きいので小さな画面での閲覧向き。

感想
レビュー
読書メータ・読んだ本に追加



                   掲載作品紹介


ブルーノートブルーノート 一文の恋 →すぐに読む
作 恵陽/ 絵 東雲一

――佐藤君、好きです。校舎の片隅に置かれた一冊のノートに書き込まれた短い告白文に始まる小さな騒動。 爽やかな学園青春ストーリー









■■ 冒頭抜粋
 南中学校の図書館棟二階、職員棟との連絡通路手前に机が置かれている。その上には一冊のノートがある。表紙に赤い線が入った何の変哲もないキャンパスノートだ。そのノートは通称をブルーノートという。
 国語科の教師が置いたブルーノートは生徒の誰もが好きに書き込むことが出来、そして読むことが出来る。当初は生徒たちが自由に書き込んでノートの中で様々な問題提議をし、また解決していくことを望んだがその思惑は簡単に外れた。
 最初のひと月はまったく書き込みがなかった。次のひと月は程度の低い落書きがされた。更に次のひと月には無記名なのをいいことに特定の生徒の悪口が書かれ始めた。さすがにまずいと撤去も検討されたが、ある一文によって、ブルーノートの中身は一変した。
 それはそう、ある恋の告白から始まった。



天使の夢は地上を翔る天使の夢は地上を翔る →すぐに読む
作 柚希実/絵 damo

漆黒のユニフォームに身を包み颯爽と地上に降り立ったクールな天使のホットなお仕事♡ コミカル現代ファンタジー











■■ 冒頭抜粋
 光の川が緩やかに流れている。観光客がいる展望台からは、出勤する人々で溢れた朝の喧噪が、そんな風に見えるらしい。その川の中、雲上を歩いている俺にも、それぞれの頭にある輪や金髪が輝いて、美しいのは確かだ。
 とはいえ、通勤途中の俺にとっては、ただの人混みに過ぎなかった。しかも今は、早足で歩く周りの人たちをひたすら追い越しながら先を急いでいるため、その風景を乱す迷惑な奴になっているだろう。
 だが、そんなことは構いやしない。間に合うか間に合わないか、それが問題だ。
「お? 君はうちの社員じゃないか」
 俺を呼び止めた恰幅のいいスーツの男は、幸福保護株式会社天上支所の所長、つまり俺が勤めている会社のお偉方だった。遅刻ギリギリのタイミングで、やっかいな奴に出くわしてしまった。



恋人の石恋人の石 〜〈荒地の民〉の物語〜 →すぐに読む
作 冬木洋子/絵 恵陽

私の恋人は真紅の石になった。私の胸を焦がし魂までも燃やし尽くしてしまいそうな、炎の色をした石に―― 珠玉の異世界ファンタジー










■■ 冒頭抜粋
 私の恋人は、真紅の石になった。
 私も、部族の他の人たちも、誰一人、彼がそんな鮮やかな色の石になるとは思っていなかったから、呪師が炎に手を差し入れて石を取り上げた時、誰もが、その強い輝きに気圧されたように息を呑んだ。
 呪師が遺灰を凝縮させて作る形見の〈護り石〉は、普通は、皆がいかにもその人らしいと思うような、その人の生前の佇まいを偲ばせるような色をしている。たとえば、生前のその人が好んで身に付けた色や、その人の瞳の色や、その人の人柄や雰囲気になんとなく似つかわしいような色。
 だから、私もみんなも、彼はもっと地味な色の石になると思っていた。彼の瞳のような穏やかに澄んだ灰緑色や、彼の物静かで控えめな人柄に相応しいひそやかな青色、あるいは落ち着いた砂色に。

 けれど、一瞬の驚きの後、私にだけは、彼がその色の石になった理由が分かった。



いり豆を巡る冒険炒り豆をめぐる冒険 →すぐに読む
文 GreenBeetle/絵 女将

恋人に逢うためにはるばる旅をしてきたリーナを待っていたものは、都会の魅惑と、とんだトラブル!? パワフルなライトノベル











■■ 冒頭抜粋
 おおー、着いたぞーっ!
 そう心の中で叫んでから、リーナは大きく伸びをした。豪快な動きに合わせて、太い三つ編みがぶんぶんと揺れる。
 喧騒渦巻く、州都の停車場。つい今しがた停まったばかりの乗合馬車から、リーナに少し遅れて、残る乗客がのろのろと地面に降り立ちはじめた。皆一様に疲れの目立つ表情で、大儀そうに腰を叩いたり伸ばしたりしている。
「リーナちゃんは元気ねえ」
「へへへへ、そりゃー、若いですからね!」
 リーナは思いっきり得意げに胸を張って、長旅の道連れ達に笑い返した。
「リーナちゃんのお蔭で、楽しかったよ」
「そうそう。また帰りも一緒だったらいいね」
 馬車から降り立った八人は、それぞれ荷物を抱えて、各々の目的地へと散っていく。


正しい夏のつくりかた正しい夏のつくりかた →すぐに読む
文 中井かづき/絵 あから

ほたるはニセモノが嫌い。見せかけだけの物があふれる宇宙暮らしの中で、本物を求めて奮闘するのだが…… キュートなライトSF











■■ 冒頭抜粋
 ――夏などない。

 船はすでに港を離れ、宇宙空間をのんびりと航行している。
 あたしは手元のキーボードをやや乱暴に叩いて、むふふと笑った。メインディスプレイの隅に表示された室温表示が「25℃」からゆるゆると上昇していくのを横目に、コンソールの上に足を投げ出す。
 船の全システムのうち、いまマニュアル操作しているのは、操船とは関係のない居住環境系がひとつきり。操縦系はロックしてあるから、多少変なところを蹴り飛ばしても運行には影響しない。
 宇宙船の操縦にオーディン・システムが用いられるようになって以来、コンソールはすっきりとまとまっている。必要な機材はすべてフラットな卓か、操縦席正面に広がるパネル状のメインディスプレイ、そうじゃなきゃあたしたちのここ……頭の中にある。や、比喩じゃなくて。



さよならいぬの声さよならいぬの声 →すぐに読む
文 河田直樹/絵 村崎右近

死んじゃだめよリリ!! 愛犬の死を受け入れられずにいた女性が体験した、それは不思議な出来事。 心にしみる現代ファンタジー











■■ 冒頭抜粋
「何で!! 死んじゃだめよリリ!!――……

 ……――また、あの日の夢を見た。
 あの日、私は愛犬のリリと、朝の日課で散歩をしていたのだ。
 だけどリリの体調が悪そうで、私は早めに家へ帰ろうといつもとは違う道を歩いた。
 それがいけなかった。
 走って交差点を渡った時、横からものすごい勢いでトラックが向かって来た。
 あ、と思った時には、すでにトラックは目の前だった。
 ぶつかる瞬間、リリの声がした。そして衝撃。次に思考を取り戻した時には、私は地面に倒れていた。ぼやけた頭のまま、何で私、生きているんだろうと思って、ふと辺りを見ると――二十メートルほど先の道路にリリが倒れていた。
 リリはぴくりとも動かない。
 そうだ。トラックとぶつかる瞬間。リリが体当たりをして来て、私は突き飛ばされたんだ。だから、私は生きている。
 でも、あそこにいるリリは。
 一目見てわかる。
 リリは、死んでいた。


河を渡る 月下世界紀行
河を渡る 月下世界紀行 →すぐに読む
文 椎堂かおる/絵 塩

旅人が密林の大河で見たものは、運命の奔流に抗おうとする命の鮮烈な輝きだった―― 名作異世界ファンタジー









■■ 冒頭抜粋
 船を待っていた。
 湿って熱い空気が風もなく人々を包み、うだるような真昼の時間が、ねっとりと這うように過ぎていく。
 船着き場は、細長い木の葉で 葺ふかれた屋根があるだけの、掘っ立て小屋のような建物だ。人々はそこの地べたに直に座りこみ、思い思いの方法で時間をつぶしていた。
 私には行く 宛あてがなかったが、とにかくこの河を渡ってしまいたかった。
 一見、海かと思うほどの、雄大なる大河だ。泥のような色をした水がうねり、水量豊かに流れ去っていく。
  河岸かがん近くには、丸い形の大きな浮き草が繁茂していて、その上を歩けば、水の上に立っても沈まないのではないかと思えるような、鮮やかな緑の絨毯となっている。
 浮き草は、鮮やかなピンク色の大きな蕾を、いくつもつけていた。
 あれが咲く時には、ぽん、と弾けるような音がしそうだ。
 私はそんな妄想をして、河岸の柵にもたれながら、わずかな荷物を抱えていた。


音が響きわたる場所音が響きわたる場所 →すぐに読む
文 村崎右近/絵 女将

その男の名はもぐら≠ミとりの少女の夢を守るために、無敵の男が放つ弾丸が砂漠の空気を切り裂く!!  痛快SFアクション











■■ 冒頭抜粋
 闇に支配された空間を進む。
 一歩、また一歩と足を進める度に、熱い空気が首元を撫でる。
 俺を待ち受けるのは不偏の闇。ありとあらゆる光の存在を認めない暗黒の空間。
 俺の目は、光を感じるようにできていない。だから、俺の前に存在するのは闇。闇とは光のない状態。光がなければ何も見えない。何も映らない。この世界における原則。
 だが、世界の形を知る方法ならば、光に頼らずとも他に幾らでもある。

 足元に広がるのは剥き出しの地面。タイルもシートも敷かれてなどいない。
 絡み付く熱気。鼻に付く臭い。いずれも不快極まりない。
 ガソリン、油、火薬、焼けたゴム。それらすべての臭いが、競い合うようにして鼻腔に侵入してくる。
 熱気の正体は炎。
 燃えているのは車。
 炎上させたのは俺。
 必要な情報はそれだけだ。
タグ:既刊紹介
posted by なび at 13:33| 既刊