2011年07月31日

2号

でんしょでしょ vol.2  
でんしょでしょ!

vol.2



横書き版(パブー)
 *HTML=ブラウザでの閲覧用。PCでそのまま見る場合はこちらをどうぞ。
 *PDF=横書きPDF。(あまり表示が綺麗じゃありません;)
 *ePub=電子書籍として閲覧の場合はこちらをどうぞ。


縦書き版(iPadZine
 *PDF=書籍風の縦書きレイアウト。PDFをご利用の場合はこちらがお薦め。
(創刊号ではデカ文字版を作成しましたが、需要が少ないようですので、通常版の文字サイズを若干大きめにして、デカ文字版の作成は見送りました。おおきな文字サイズがお好みの方は、パブー版のePubをご利用ください)

感想
レビュー
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                   掲載作品紹介


来客御礼来客御礼 →すぐに読む
作・絵 恵陽

ロッカー開けたらそこは異世界。可愛い女の子がお出迎え♪ ってそれはいいけど……いやいや、よくないっ!
男子高校生異世界召喚物語


■■ 冒頭抜粋
 この世界では箪笥や机の引き出しが異世界との通路になることもある。嫌な例を挙げれば公衆トイレだって異世界と通じたことがあると聞き及んでいる。
 だからきっとこれは不思議なことではないはずだ。そうでなければ、信じられるはずもない。そう、おかしくなどない。
 ……いや、やっぱ駄目だ。こんな場所に僕がいるなんて、信じたくない。
「あいやー。お客さん、お客さん。頭ダイジョブあるかー」
 だけど、無情にもあってはならない声が落ちてくる。しかも似非中国人みたいな口調で。
「頭から落ちたあるなー。こぶが出来てるかもしれないあるよ」



通り道だからって通り道だからって →すぐに読む
作 あずさ/絵 東雲一

補習帰り。星空の下、コンビニ菓子を広げてささやかなパーティー。一緒にいるのはキミと、そして……
コミカルショートショート


■■ 冒頭抜粋
 外はもうすっかり暗かった。ムッとした風が僕らを熱心に誘っている。涼しいコンビニから出てきたものだから、その勧誘はますます強烈に思えてきた。絡みついてしがみついて、何がなんでも離れない。そんな心意気を感じるくらいだ。意地になって振り払うように歩き出した僕がまるで馬鹿みたいに思えてくるほど。
「うーん、解放感!」
 ――その馬鹿さ加減を肯定するかのごとく、隣の彼女は、やけにすっきりした表情で背筋を気持ち良さそうに伸ばしている。
 何だかな。あまりにも幸せそうで、僕は思わず毒気を抜かれてしまった。
「ご機嫌だね」
「あたぼーよ」



月の光 太陽の闇月の光 太陽の闇 →すぐに読む
作 設楽土筆/絵 色崎

薄幸の少女は鏡の向こうにひとつの世界をみる。それは、太陽の王子と闇の娘の物語。
暗黒ファンタジー


■■ 冒頭抜粋
 少女は姿見のある暗い部屋に隠れて、物語の世界を紡ぎだす。
 大切にしている、真っ赤な髪の人形と、いつも物語を考えて、遊んでいた。
 鏡の中の世界には、男の子と二人の女の子……。
 物語の舞台はここではないどこか。登場人物も自分ではない、誰か。ここより、きっと素晴らしい世界。
 鏡の中に物語の世界が作られていく。

 昔々、ここではない、どこかの国の物語――。



行きゆく人に秋の夕暮れ行きゆく人に秋の夕暮れ →すぐに読む
文 梓寝子/絵 damo

薄の土手。風わたる松林。落日に染め上げられた風景の中、そぞろ歩く人。その歩みの先には……
幽玄ショートショート


■■ 冒頭抜粋
 秋は好きだ。特に秋の暮れ方はいい。
 門を出て夕日に赤く燃える土塀の間を歩くと、川辺に出る。川は黄金色から紅に染まりながら、緩やかに流れて行く。土手の薄は川面に映え、白銀に輝いている。
 橋が在る。古風な太鼓橋だ。渡り口には大きな石造りの常夜燈が在り、夕日の中に濃い長い影を引きつつ、深紅に聳えている。
 時々立ち止まりながら、ゆっくりと橋を渡る。橋の向こうは、薄の原だ。道はだらだらとその中を下っている。川風が密やかに生じさせる薄の幽かな衣擦れを聞きつつ、夕日に向かって下って行く。
 薄の原を抜けると松林が在る。林を通して遠い山並みが黒々と迫って来る。山の端を行く赤い巨陽は重苦しい沈黙を呈している。何処からともなく吹いてくる風は、蕭々と松の梢を渡って行く。



無音の響き 「RはリドルのR」シリーズ無音の響き 「RはリドルのR」シリーズ →すぐに読む
文 GB(GreenBeetle 改め)/絵 yanagi

欠けたオルゴール。大切な人へのプレゼントのはずなのに。壊れた? 壊した? それとも――!?
青春ミステリー


■■ 冒頭抜粋
「ヒーカーリー! たーすけてー!」
 初夏のキャンパスに、素っ頓狂な声が響き渡る。
 名を呼ばれた雛方光は、渋々といった様子で足を止めた。大きな溜め息一つ、ウェーブがかったミディアムヘアをばさりと揺らして、声の主を振り返る。
「助けて、ヒカリ! 壊しちゃった! サトル兄ちゃんのっ、姉ちゃんがっ、姉ちゃんでっ、おこっ、おこここ、怒られるー!」
 勢い良く駆け寄ってきたのは、ヒカリの友人の松山万里だった。さらさらのショートヘアを振り乱しながら、半べそをかいて、助けてくれと繰り返す。
 ヒカリはもう一度大きく息を吐き出してから、やれやれ、と両手を腰に当てた。



舞姫夢幻 〜サヌザと共に〜舞姫夢幻 〜サヌザと共に〜 →すぐに読む
文 冬木洋子/絵 あから

旅の楽師に不思議な老婆が語る。草原に埋もれた歴史。古の都の最後。若き王と美しき舞姫の悲話――
異世界幻想旅行記


■■ 冒頭抜粋
 砂鳥に乗って街道をゆくうちに、いつのまにか道に迷っていたらしい。
 旅人は途方に暮れてあたりを見渡した。
 丈の低い草が痩せ地にへばりつくように生えているだけの乾いた草原を突っ切る、一筋の古街道。これまでにも何度か往来したことがある見知った道筋の、このあたりは迷いようもない一本道であったはずなのに、行けども行けども、今日中に辿りつくはずだった次の宿場が見えてこないのだ。気がつくと、足下の街道自体が、人の踏み跡も絶えて久しい風情で黄褐色の砂を被り、草に埋もれかけている。
 そういえば先頃から、普段なら何組も行き会うはずの他の旅人と、一度も出会っていない。やはり気づかぬうちに古い枝道にでも迷い込んでしまったのだろうか。いや、そんな道はないはずなのだが……。胸の裡でひとりごち、旅人は暮れかけた空を仰いだ。
posted by なび at 13:41| 既刊